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どうですかミスター!!

やっぱり最後は自分の運なんですよ!!




 
 ということで、早速広島に行きましょう(戻りましょう)。

 ……そうだった、あの集団の中に飛び込まないとなんだ…。

 まわりはカップルと親子と不良さんばかり。サイコロの旅でやられているへっぽこ大学生二人組なんて我々くらいのもんでしょう。

 フェリー待ちの行列に参加して、紛争のように各所で起こる小競り合いにおびえながら1時間、ようやく本土行きのフェリーに乗ることが出来ました。船は思ったよりも混んでいない。そりゃそうだ、定員越えたら沈没だもの。

 で、本土上陸。とにかく宮島口駅に急ぐ。すると、ここも人だらけ。普段だったら終電が出ていそうな時間なのに、深夜12時くらいまで広島行きと岩国行きの臨時列車が出ているとのこと。おぉ、ありがとうJR。
 


 ここで、ミスターが機転を利かせた。

『岩国行きの臨時列車で1駅行って、そこから広島行きの列車に乗れば、座れるはずだ』



 ミスター頭いぃ〜!さっそく、下りの岩国行き臨時列車に乗り、一駅だけ進み、前空駅で下車。同時に数人が降りた。そして、彼らも上り線ホームに向かった。どうやら、同じ作戦らしい。

 しかし、いつまで待っても電車は来ない。時刻表を見ると、すでに通常ダイヤの終電は出ている。このことをミスターに伝えると、彼は自信満々で答えた。

 『大丈夫、岩国から来る広島行きの臨時列車が来るから』

 彼は、ホームに立ち続けた。が、駅のアナウンスが、そのかすかな希望をうち砕いた。

『本日の上り電車は終了しておりますので、よろしくお願いいたします』

 何をヨロシクなのかは分からないが、とにかくここに立っていても無駄だってコトですよ、ミスター。作戦失敗ですね。

 あ、広島行きの電車は来ましたよ。もちろん、宮島口からお客さんを乗せるための臨時列車。だから、前空駅は通過。『臨時列車が来るから』という予想は当たりましたね。止まりませんでしたけど(笑)。

 我々は、前空駅入口で、途方に暮れていた。傍の国道2号を、車がビュンビュン飛ばしていく。ヒッチハイクか、タクシーか……。

 その時、ミスターが汚名返上とばかりに、親にテレフォンという最終手段に出た。なんと、前空駅まで迎えに来てくれるらしい。すげーぜ、ミスターパパ。

 しばらくしたら、本当に来てくれました、ミスターパパ。で、国道2号を東へ。午前1時、広島市内に到着。原爆ドーム&平和公園を見学しました。午前1時ですよ。明日は終戦記念日ですから。ドームがライトアップされてた。現在の広島という大都市とのミスマッチ感が、何物にも代えがたい説得力を持っていました。

 で、ミスターパパの運転する車は午前1時半ごろに、某カプセルホテルの前で止まりました。ここが我々の今夜の寝床になるようです。ここでミスターパパとはお別れ。さよなら。また明日会うんだけど。